2018年10月21日 (日)

リーズナブルな本格派カラーマネジメントディスプレイ:BenQ PV270

液晶ディスプレイはずいぶんと安価になって手が出しやすくなりました。品質も概ね良くなっていると思います。その一方で、ハイエンド型のカラーマネジメントディスプレイは減っているように感じられます。
かつてワタシも使っていたダイヤモンドトロンの三菱は数年前にコンシューマー用ディスプレイから撤退し、NECディスプレイソリューションズはWUXGA(1920x1200)の24型をラインナップするのみ。国産では王者EIZO以外の選択肢が事実上無くなっています。
そんな中で気を吐いているのが台湾を拠点とするBenQ(ベンキュー)。
その最新型カラーマネージメントディスプレイ PV270を3ヶ月に渡ってお借りしたので、良いところ、気になるところをレビュー形式で書いていきます。

BenQ_PV270_01

関係性の明示
CP+2018でBenQ社プレゼンツstudio9の中原一雄さん(デジカメWatchのレポート記事)、フォトグラファーの東真子さんさんのステージ(エアロブレインのレポート記事)でモデレーターを務めた縁で、同社よりPV270を約3ヶ月お借りして使いました。
それ以外の利益供与(報酬等)はありません、PV270も返却済みです。本レビューはBenQ社に感謝しつつもフェアな視点で書いているつもりです。同社に原稿チェックはさせていません、事実誤認や間違いがあれば修正し修正点を明記します(誤字脱字の修正を除く)。
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BenQ_PV270_02

BenQは比較的リーズナブルなディスプレイを多数展開するメーカーですが、本格的なカラーマネージメントにも熱心でハイエンドなカラーマネジメントシリーズをラインナップしています。
PV270は、そのなかの最新モデルで 27inch型 WQHD(2560 x 1440)です。

2018年10月現在、BenQのWEBサイト(日本語版)にあるカラーマネジメントディスプレイはPV270を含め5機種。うちSW320は使ったことがないので除外して他の4機種は試しています。主要スペックを一覧にしてみました。

Benq_pv270

SW271は4K UHD、SW240はWUXGAと解像度が異なり、SW2700PTと今回のPV270が同じ27型WQHD。
WEBの製品説明にはSW270が「SW2700PT」のグレードアップ版と位置づけられていますが、その言い方を使えばPV270はSW2700PTの後継モデルとも言えそうです。ただ、2700PTは2016年モデルとやや古いものの現行機種。

BenQ_PV270_03

個別レビューの前に3ヶ月使用した印象で総括すると、PV270はこれまでのBenQカラーマネジメントディスプレイのなかで最も本気の色管理を指向するとともに、均一なユニフォーミティを実現する仕様と、映像制作用途に向けて24P正規再生をサポートするなどハイエンド機と呼ぶに相応しいモデル。ただし、キャリブレーション等の手間を惜しまない運用をすれば、というエクスキューズがつく。という印象です。

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コントロールボタンはセンサー型。使用時以外は消灯しているため物理ボタンに較べスマートなUIを実現している。
ベゼルに触れるとボタン相当部が点灯し、OSDメニューが表示される。

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メニューは当然ながら日本語化されています。

いちばん気になるカラーモードプリセットは、Adobe RGB、sRGB、DCI-P3、Rec.709、D50、D65。

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2700PTで便利だったOSDコントローラーは不採用ですが、あの便利なコントローラーは使わないときに意外と邪魔(とくにケーブルが)というマイナス面もあったので、この方がトータルでは正解かも知れません。

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入力系はDVI-DL  / HDMI 1.4  / Display Port 1.2 / mini DP1.2 が各1
(右端はUSBのアップストリーム)
非常に充実していますが、SW271のようにHDMIが2系統ある方がイマドキのPC環境では実用的だったようにも思います。
同梱ケーブルもDVI-DL / miniDP to DP / HDMI / USB3.0 / と全部付き、状態ですが、初期出荷分にはHDMIケーブルが同梱されていません。該当ロットのユーザーはサポートセンターに連絡すると対応してくれます。

BenQ_PV270_08

側面にはSDカードスロットとUSB 3.0 ダウンストリームが2ポート。
SW271等でも側面にカードスロットとUSBポートがあったものの、筐体デザインの関係か奥まっていてフードの裏側にあって実際には使い勝手が悪く、これはCP+の同社ブースでのプレゼンテーションでも指摘したのですが、なんとPV270ではフードに専用の切り欠きを設けてまで使いやすい位置になっていて、ヒデキ感激(古い)です。

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スタンド部の上下昇降幅は150センチ。この昇降幅は大きく実用的。
写真はありませんが左右のスイーベル角度はそれぞれ45°あり、チーム作業時には有効に思います。
(自室ではそこまでスイーベルさせることは滅多にありませんが)

BenQ_PV270_10

上下昇降幅に関しては下限位置の低さも○でしょうか。

BenQ_PV270_11

さて、PV270の大きなアドバンテージであるカラーマネジメント。
冒頭に書いたように近年は液晶の基本品質も向上し、特にカラーマネジメントを謳わなくても美しい画面表示を実現しているものは少なくありません。
しかし、カラーマネジメントの本質は、「綺麗な表示」ではなく「正しい表示」です
写真現像、デザイン作業、映像編集の際、アウトプットのための基準として信用できるか、が最も重要なポイントです。
EIZO社のディスプレイがプロに絶対的な信用を置かれているのもそこに理由があります。

そしてBenQ社もまた、正確な色表示に対して地道な努力を続けてきているのは、ICC(International Color Consortium)やISO(International Standard Organization)への積極的な参加、X-Rite社との協業などをみてもよく分かります。

BenQ_PV270_12

PV270には全台、出荷時に調整、検証されたレポートが付属します。
1台1台調整されてるならそれでいいんじゃない?と思いたいところですが、そうはいかないのがカラーマネジメントの難しさ。ディスプレイというハードウエアは経年変化を避けられないのですね。

BenQ_PV270_13

例えて言えばクルマに車検があるように、カラーマネージメントされたディスプレイは定期的に再調整する必要があるのです。
写真はそのために使うキャリブレーターと呼ばれる測定機。X-Rite社のi1 Display Pro。

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キャリブレーターが測定した色情報を元に、ディスプレイの発色を直接コントロールするのがハードウエアキャリブレーション。ディスプレイの色ずれにあわせて、PC側のビデオ出力を調整するのがソフトウエアキャリブレーションで、ディスプレイの性能(表示能力)をフルに活かすのが前者です。
そのため、カラーマネジメントディスプレイといえば通常はハードウエアキャリブレーション対応のディスプレイを意味します。

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測定およびディスプレイキャリブレーションのソフトウエアはSW271等ではPalette Master Elementだったのですが、PV270ではより高度で高精度な設定が出来るPalette Master になりました。

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Palette MasterはX-Rite社との共同開発だと言います。機能、精度が向上した分、キャリブレーターはX-Rite社の i1 Display Pro/i1 Pro/i1 Pro 2 に限定され、従来サポートしていた他社製キャリブレーターは使用できなくなっています。
(実はワタシはSpyderだったので地味に痛い)

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前述の例え話のように、このモニターキャリブレーションは車検と同じで定期的に行わなければいけません。
難しい作業ではないとは言え、定期的にキャリブレーターを取付、時間を掛けて調整し、結果を保存するのは面倒くさいプロセスで、ついついサボりがちになります。

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EIZOはそこにアクションし、キャリブレーターを内蔵、自動的にキャリブレーションを行う機構で手間のかからないカラーマネジメントシステムを構築しました。
正直言って、このソリューションは素晴らしく、ディスプレイのキャリブレーションの億劫さを大きく低減するものです。
ただ、その手間を惜しまなければ、PV270は実用的に十分な精緻でレベルの高いカラーマネジメントを実現します。

ワタシはEIZOのCG277を使っていてこの機能にすっかり慣れてしまったので、久しぶりの測定機によるキャリブレーションは思ったより面倒で、一方で思ったより簡単で、この手間を厭わなければ、が分水嶺になると感じました。

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ちなみにBenQ初?かもしれないムラ補正回路による均一なユニフォーミティはPalette Masterからも均一度を測定できます。

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あまり話題にならない部分ですが、ディスプレイのユニフォーミティはデザインにせよ写真にせよ、重要なファクターだと思います。

さて、PV270は他のBenQカラーマネジメントディスプレイ同様にピボット機能を持っています。

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ディスプレイを90°回転させて縦位置(ポートレイト)ディスプレイとして使える機能です。

BenQ_PV270_22

SW271と異なり、付属フードは縦位置に対応しない構造なので、縦位置使用時は(純正では)フードなしの運用となりますが、縦位置ディスプレイの有効性は(限定的とは言え)高く、ピボットのポイントは高いです。が。

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ピボットするにはディスプレイを1度、上端まで引き上げて回転させるのですが
そのままだと角が当たって回転できません。

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ので、いったん上端に引き上げてからディスプレイ部を仰向け方向に倒し、仰角をいっぱいにつけてから回す必要があります。

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正面から見るとこんな感じで

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最後についた仰角を直します。これ、ちょっと面倒なんですよね・・・。

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縦位置にしたPV270。比較的狭額フレームのため、縦位置写真との相性の良いのは○。

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ただし、BenQロゴがシルバーで目立つのが惜しい。
EIZOのディスプレイはサイネージ運用を意識してかロゴも黒くしているので、これはBenQも追随するか、ロゴを取り外し可能にしてくれるといいなあと思います。

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最後にふたつのカラーモードを比較しながら同時表示できるガンマデュオ機能について。

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GamutDuo機能はふたつの入力(例えばHDMIとディスプレイポートなど)信号を左右に同時表示し、さらにそれぞれの表示部のカラーモードを違う設定に出来る機能。

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例えばsRGBとAdobeRGBを較べることもできるし、Rec.709とP3を較べることも出来る。
マルチデバイスユースが当たり前になりつつある近年の制作環境には強い味方になりそう。
(ひとつの入力を左右に違うカラーモードでワイプできたら便利なんだけどなあ)

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さらに、写真では表現できないけれど、24Pの正規再生が可能な仕様は、フィルムルックな映像制作用途には良い味方になると思います。

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映像制作用途に力を入れているならDCI-4K表示に対応して欲しいと思うなど、小さな部分では惜しい部分もあるし、およそ200時間毎にキャリブレーターで調整する必要があるものの、そこを割り切ることでEIZOの半額で買える本機は、正しい意味でのコストパフォーマンスが高いと言えそうです。
リーズナブルって、ただ安いという意味ではなく、中身に較べて安い、という意味だと思うのです。PV270はC/Pに優れた本格派カラーマネジメントディスプレイだと思いました。

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2018年10月19日 (金)

ビデオSALON11月号はミラーレス一眼動画Q&A

気がつけば10月も半ばを過ぎ、ビデオSALON 11月号の見本誌が届く。
今号の特集はミラーレス一眼動画Q&A  カメラ&機能篇。

Salon

でも表紙はPXW-Z190ですが(笑)

先日出たコマフォト11月号もミラーレス特集だったし、いま、旬なのはレフじゃなくてレス、なのは間違いない。

同時に出荷直後のブラックマジック ポケットシネマ 4Kのレビューを鈴木佑介氏が書いている。(大学で頼んだBMD Pocket Cinema 4Kはまだ来ない・・・_| ̄|○)
しかも生素材といえる Cinema DNG RAWデータ(一部)がダウンロードできるのも○。
DaVinci Resolveの習熟訓練にも良さそうな素材なので、これはありがたいところ。

アフターファイブ連載ではサムソンのポータブルSSD X5を試したのだけど、これが驚き。

SAMSONG SSD X5

マットなレッドに相応しい、まさに3倍速い、Thunderbolt 3 接続SSD。
NVM Expressで x4のリンク幅を持たせるとこうも凄いのかと思った。
おそらくG-TechnologyのG-DRIVE mobile Pro SSDも同様の速度を叩き出しそうに思いますが、円盤の時代から棒(?)の時代に変わりつつあることをひしひしと感じます。

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2018年10月14日 (日)

EOS R の予約とキャンペーンのお得度

発売を前に、EOS RのRAWに対応したD.P.P.のダウンロードが可能になり、一部店頭での先行展示も始まった。キヤノンにとって負けられない次の30年(EFマウントは31年前に登場)の先兵として初陣するEOS Rは、どんな初速を見せるのだろう。
スペック的にも価格的にも6D2クラスの中堅機に見えながら、中身は5D4クラスの初号機は初陣向けのキャンペーン作戦も展開される。
そのお得度も考えてみた。

Eos_r_10

これは、名前のよく似たEOS RT(写真はキヤノンカメラミュージアムより転載
RTはペリクルミラー、Rはミラーレスと、奇しくもミラーがキーポイントの2つのEOSは、RTは平成元年に発売、Rは平成最後の年に発売という符合も見せる。

Eos_r_11

EOS R。
ああ、こうやってみると、Rはやはり、Mのデザイン思想も継承していますね。
それはさておき、初戦用援護射撃のキャンペーンで

Eos_r_12

目立つのはやはり、総額4.5万円にも及ぶキャッシュバックキャンペーン。
EOS R、は現在のところレンズキットの設定がないのでその分の還元とも思えるけれど、別の見方をすると、EFレンズを使うためのマウントアダプタが実質2〜3千円になるとも言えて、初回出荷分にはマウントアダプタをサービス同梱するキャンペーンやってもいいのに、と考えるワタシからしてもいいアイディア。

ただ、多くのユーザーは、その実用度は未知数ながらコントロールリング付きのマウントアダプター買うよねえ、このふたつのマウントアダプタ、希望小売価格も実売もほぼ倍違うのにキャッシュバック額は同じという不思議。
そしてそれらより高価い35mmハーフマクロがキャッシュバック半額という・・・。
ので、ちょっと還元率を計算してみた。

Eos_r_13

圧倒的にお得なのはノーマルタイプのマウントアダプター。
なんと希望小売価格の62%もキャッシュバックしてしまう。実売に対してはなにをかいわんや。

一方、35mmハーフマクロは6%と還元率は1/10。

ただ、還元率が倍違ってもマウントアダプタはリング付きにしちゃうよねえ・・と思う。
思うのだけど、あれ?これ、両方買ってもそれぞれキャッシュバック受け取れるので、ノーマルの方は5,000円くらいでヤ○オクかメリカ○に・・・(以下、自粛

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2018年10月13日 (土)

コマフォト 11月号でiichiko広告特集

週明け発売のコマフォトことコマーシャル・フォト 2018年11月号が届く。
白眉は 特集 徹底解析 iichiko ロングランポスターの秘密に迫る
そう、あの駅貼りB0ポスターの「いいちこ」の広告特集。

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表紙は君塚裕さん
タイミング的に当然、ミラーレス特集になるのだけど、EOS RやNikon Zの検証特集(柳下隆之氏)の前に、

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特集 ビューティXミラーレス として GFX50Sがどんと来るのはコマフォトらしい。

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そして、iichikoの特集。

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いいちこの広告はTVCMを含め総合展開しているけれど、やはり中心はあのポスターたち。
そして、アートディレクターの河北秀也氏。

コマフォト誌面でも書かれているけれど、三和種類にはいまでも宣伝部はない。
広告戦略はすべて河北秀也氏が担っている。
モノ(製品)ではなく世界観をみせる写真を核にした広告。言うのは容易いけれど実現するのはものすごく難しい。ましてや30年以上の時間に渡って。

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実は昔、河北秀也氏にはとてもお世話になっていて、iichikoのテレビCMの一部は編集をさせてもらっている(もちろん、河北氏の手足として、ですが)。
その意味でも感慨深い特集。

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その河北さんが送ってくれた iichiko design (しまった、サインしてもらえば良かった)

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ワタシの書棚の一角に鎮座している。

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ホントはこれがやってみたいのだけど(笑)
そうそう、いいちこのTVCM、ナレーションは河北秀也氏なんです。(全部ではない)

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コマフォトの話に戻ると、今号の南雲暁彦さんの連載、
よく見ると、カメラはフジのGFX50S、レンズはキヤノンのTS-E90mmF2.8L マクロ だ。

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2018年10月10日 (水)

JAL公式 iPhoneケース

助手の高田君がiPhoneケースを新調していた。お洒落だ!
しかも、JAL公式のオリジナルケースらしい。

JAL_iPhone_case_01

JALのオンラインショップ見ると、たしかにJALオリジナルiPhoneケースはあるんだけど、iPhone7、iPhone8版しかないように見える。
でも、これはiPhone X 仕様。
高田君の話によると羽田空港に用事があって行った際に見つけたとのこと。
ただし、iPhone X用はこれを含め2種類だったらしい。

JAL_iPhone_case_02

ICカードの収納も内側に可能。
TPUケースとしてはやや割高ではあるんだけど、これはネタとしていいよなあ。
JALロゴマークはパチモンじゃなく、ちゃんと正規のものだし。

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